米寿のお祝いの食卓に

昨日は大寒でしたが、例年より少しあたたく感じました。今日は朝から小雨だったのですが、ちょっと特別な御膳を、ご用意させていただきました。町内からご近所さん5名の方々が集って、米寿のお祝いです。昨年の11月だったでしょうか、大きなカレンダーをお店にもってこられて、どの日がいいかなど、相談されたことを思い出します。こちらも、どんな素材をつかって、どんなお料理がよいのか、あれこれ思案しての今日でした。

昭和12年生まれ、女性ばかりの5名さま。みなさんたくさん食べて、おしゃべりして
お元気で良いなー♡と、こちらもうれしくなる会でした。

きっと同じころに嫁いで来られ、子育てや地域での活動など、たくさんたくさん同じ時間を過ごしてこられたのだろうな、と想像します。
「ほんとは、もうおひとりおられるんだけど施設に入られてね」と、ちょっと寂しそうにお話ししてくださいました。

卒寿、白寿までみなさんどうかお元気で、また一緒にお祝いできますように。
おめでとうございます!
ありがとうございました。

糀づくりと『絵のある自伝』

1月1日にあわい堂で買った、安野光雅の『絵のある自伝』。卒業した大学名がこの本に出てくるのですが、卒業式は全員黒の着物に赤い伊達締めをして、制服の深緑の袴をはいて出席しました。着付けは、友達のお母さんがしてくれたのも良き思い出。この袴、実は宝塚音楽学校と同じなのですが、附属の高校のクラス名も星組や月組とか。入学当時「宝塚みたい!」と言ったら、「宝塚が真似したのよ」と教えてもらいました。

親しくしていただいている方のお姑さんも、大正生まれだけど島根から出られた同学の卒業生だと教えていただきました。(残念ながら去年98歳でお亡くなりに)
ご存命なら、今も当時からある記念館のことや、いろんなお話し伺いたかったです。

この本には、一緒に買った『娘の学校』の著者、なだいなださんのお名前も出てきたり、もちろん3年間を過ごした津和野のことも出てきて、いろいろ面白い読書体験でした。

さて、お味噌用の玄米糀の仕込みが始まっています。出来上がったばかりの糀は、ほわほわ〜と湯気があがって甘〜い香りがします。ひと月かけて50キロの糀を仕込んでいきますが、お味噌としていただけるのはおよそ一年後。

毎年毎年、1月恒例の繰り返しですが、毎年同じ日常が続いていくことこそが、ありがたく尊いことだと感じます。

少しずつ変わってはいくけれど、変わらないものも大切に抱えて、毎日を送っていけますように。

奥出雲おろち号

今日は11月23日。お店の前を走る木次線のトロッコ列車、『奥出雲おろち号』ラストランの日でした。今朝、宍道方面から木次駅に入る手前、ちょうどオリゼの前あたりで「ポーーーーーッ!!」と、いつもより長く大きな汽笛を鳴らして通過して行きました。1998年から運行を開始した3両編成のディーゼルは、木次駅から広島の備後落合駅までを、4月から11月の金・土・日と夏休みと紅葉シーズンは連日走っていました。

10年前、オリゼをオープンするときに箸袋の図柄を考えていて、表面はお店の外観にするとして、さて、裏はどうしよう?と思案していたのです。初めは木次駅の時刻表にしよう、という案があったのですが時刻表はかわるからね、ということでトロッコ列車の絵を描いてもらって採用したのでした。

オープンして10年目、その時印刷した箸袋を新装するより先に、おろち号がなくなってしまいました。当時は本当にこんな日が来ることを想像していなかったので、なんだか今日はちょっと寂しい気持ちです。

今日はたくさんの方がお見送りに来られたようで閉店間際には広島から来られたご家族もカフェに立ち寄りくださいました。さみしい気持ちもあり、ちょっとうれしいこともあった日でした。

今日の日をまたいつかきっと思い出すんだろうなー。

タカキビのこと其の1

10月22日のSunday Market CiBOには、6種の玄米おむすびをつくっていきました。自家製の梅しそ、おかか、ごま醤油、こんぶ、Good Life Farmの白蕪の浅漬、そしてタカキビ。蕪の浅漬はたくさんつくっていきましたし、人気でしたが、意外にとる人が多かったのが、タカキビ。珍しかったからでしょうか。買った方もそうでない方もおっしゃいました。
「タカキビってなんですか?」
どんなものかも知らない人が多いことに少し驚きました。
山(焼畑)で育てはじめて10年近くたち、毎年のように収穫し、種をつぎ、スリランカカリーにはターメリックライスにまぜて出したり、お正月前にはお餅について配ったりと、オリゼではいちばん身近な雑穀です。姿かたちはこれ(下の写真)。収穫直後ですが、天日で乾燥させたあと、つぶつぶの部分を脱穀調製して料理します。

■背の高い黍(きび)

その場で一言で説明するときには、背の高いキビですと言います。黍といえば、黍団子という名称からもおなじみですから、そうしたもの=雑穀の一種で、キビよりも背が高いものということになります。黍はものにもよりますが、1mから高くても1m70cmくらい。一方タカキビの高さは2m以上で3m近く育つ場合もあります。

ただ、タカキビは黍とは違うのです。たとえていうなら、蕎麦と麦くらいには別ものです。まず、黍よりも日本に渡ってきた時代は新しく、室町から戦国時代にかけて。十分古いじゃないかと思われるかしれませんが、稲の渡来がかれこれ2千年前、アワ、ヒエといった雑穀がそれより前です。黍の渡来は稲よりも後ではありますが、それでもタカキビより千年以上は前のことです。

タカキビ。モロコシとも呼ばれます。トウモロコシとは違います。大陸からやってきた(比較的)新しい穀物です。静岡の井川地方ではホウキモロコシと呼ばれています。江戸時代には全国各地、特に山間部にひろまってさまざまな名前で呼ばれていました。さらにめんどうなことには、タカキビのことをキビと呼び、黍のことはコキビ(またはイナキビ)と呼んで区別する地域もあります。

そんなに名称がバラバラだと大変! かといえばそうでもありません。栽培しているところは日本でごくわずかとなっていますから。一方で、飼料用としてソルゴーと呼ばれるものをよく見かけるようになりました。こちらは品種改良されて、古来のものより背が低く、1m以上2m未満といったものです。これらはれっきとしたタカキビです。

各地で伝統的なタカキビ栽培を復活させて特産にという動きがあります。しかし、数年たってなぜかうまく育たたくなったという話をちらほら聞きます。ひとつには、栽培方法や気候の問題。そして、考えられることとして交雑の問題が考えられます(市販されている種子のなかに、交雑したものが混じっています。それが他の要因ともからみ、世代交代とともに不稔性を生じるのかも)。

オリゼでお出ししているタカキビは、どこまで遡れるかは不明ですが、古いほうのタカキビです。出雲地方を流れる斐伊川の上流に尾原ダムがありますが、そのダム建設で移転された林原という地区の一農家の畑がふるさとです。山の畑で長く育てられていたタカキビの種子を継いでいるものなのです。わけていただいた方が、移転後も、小さく栽培されていたものを粉にして直売所で販売されていたのを見つけてお願いしたのが、かれこれ10年近く前のこと。その方も、いまは栽培されていません。

交雑を避けるために、ふつうの畑からは遠く離れた山の焼畑で栽培しつづけているのも、そのタカキビの形質を維持していくためでもあります。一度だけ、野菜をつくっている平地の畑で栽培したことがありますが、稈が腐りがちになり、うまく育ちませんでした。いま栽培を続けている場所は、奥出雲町の(旧)林原地区から2〜3kmほど離れた山の斜面です。

 

■奥出雲地方のタカキビ

雑穀の栽培が早くから消失していった出雲の山間部ですが、タカキビは比較的近年までつくっておられるところが多かったのかもしれません。アワやクマゴやキビは見たことも食べたことはなくても、タカキビは知っている人に出くわします。

「子どもの頃食べたタカキビ団子がなんとも美味しかった。いまでも忘れられない。もう一度食べてみたい」という声も聞きます。

奥出雲地方でなぜタカキビ栽培が雑穀の中で最後まで続いていたのか。「美味しかった」ということが理由のひとつだと考えます。その美味しさはモチモチ感と、少しばかりのタンニン質です。そしてもうひとつ。

山で栽培しても、(今のところ)鳥が食べないのです。熟すとともに表面に焦茶がつくタンニン質と比較的大粒であること。また、イノシシも(今のところ)数本ほど稈をかじり倒すことはあっても、トウモロコシのように、すべてなぎ倒すようなことはしません。なので、栽培を続けられています。

ここまでで、少し長くなってしまいましたので、つづきはまた改めて。

 

 

秋のスリランカ・カリーとtutti.展と

ここ数日でいきなり涼しくなりました。「こたつ出しました?」などと聞かれるほどに。一昨日の夜は本当に寒くて、ホットカーペットを出そうかと話してました。扇風機をしまったばかりで、もう少し我慢せねばということと、面倒なのとでなんとかしのぎましたけれど。木次はまだまだしのげますが、朝は10度を切るようになった横田や頓原では、もうストーブの出番ですよね。そちらからいらっしゃる方は、セーターやカーディガン。方や平野の街中から来られる方の中にはTシャツ姿もあって、「夏と冬しかないよねー」が毎日交わす合言葉のようです。

でも、秋はいまここにいます。昼間、日がさすような日は本当に過ごしやすく、気持ちよくて、秋はいいなあとしみじみ思います。なるべく長く、ゆっくりしてってね。秋のお天気のよい日には、オリゼの庭にテーブルと椅子を出しています。2人席ですが、カフェタイムにご利用いただけます。その庭でいまいちばん目立つのがツリバナの赤い実。仕込みをはじめる前にふと目をやると風もないのに上下に揺れています。むむっとさらに目をこらせば、黒い影。ヒヨドリが細い枝にとまって実をついばんでいたのでした。

そんな貴重な秋の4日間、おしゃべりアクセサリー屋Tutti.の展示会を開きました。一人ひとりの「これ!」と出会って、うれしそうにお帰りになるときの笑顔が本当にキラキラしていて、あぁよかったと、こちらも幸せをわけてもらったようでした。あわせて、久しぶりにお出しするスリランカ・カリーのランチ。たくさんの方にお越しいただき、カリーもみさんに喜んでいただけてとってもうれしかったです。もっとカレーの日を増やせたら良いなー、と思いました。

10年目のカフェ・オリゼ。今日、怒涛の4日間も片付け終わって、ほっと一息。毎日いろいろありますが、このランプのように、小さくても長く灯が灯せるようにやっていきたいと思います。

4年ぶりの花火、木次のえびす祭りの日に

梅雨が明けて夏本番。
今日は木次のえびす祭り。4年ぶりに屋台も出て、にぎやかに。夜には花火があがります。

そんな令和5年の7月20日、オリゼは9周年を迎えました。
支えてくださるみなさまのおかげです。
ありがとうございます。

これからも、このシジュウカラのように、ふわふわゆっくりでいこうと思います。
10年目もよろしくお願い申し上げます。

7月のNight CiBO

昨日のNight CiBO、ありがとうございました。

暑かったですね〜。途中何度かパラっと雨が降ってテントなしのわが店舗はヒヤっとしましたが、だんだんと暮れていく日を楽しみながら終えることができました。

今回は友人に加え高校生ボランティアさんにもお世話になりました。ありがとうございます。13人の高校生ボランティアの中のひとりの生徒さんののママさんが、まさかの会社員時代の後輩で、オリゼが出店するので会えるのでは?と来てくれて、20年ぶりに再会という特典付きでした。あー、うれしいねぇ!!ちゃんと続けてきてよかった。

今夜のわが家の食卓はCiBOで買った美味しいものあれやこれや。疲れがようやく取れたような、まだ残ってるような日曜日の夜ですが、今週も暑さにマケズやっていきます。