カニパーティの時間

夏は過ぎたようで、ただ秋とも言えないような毎年この時期。わたしの誕生日と帰省に合わせて、義姉が高津川のツガニを大量に買いこみます。実家で、『カニパーティ』が開かれるのです。

5キロもの生きたカニを、2つの鍋で雄と雌にわけて蒸しあげます。うまく段取りして息をあわせないと、カニが逃げ出して大騒ぎ、という一幕もあったりします。
夜には、食卓に新聞紙を一面に広げ、ひたすらカニのみを食べ続ける晩ごはん。他所のお家のことはわからないけど、このスタイルはわたしがこどもの頃から変わりません。
亡くなった父はツガニが大好きで、晩夏から秋祭りの頃まで、年に2、3度そんな日がありました。大きなカニの爪や卵がいっぱい詰まった雌カニを、父がわたしたちにすすめてくれ、食べていたのを思い出します。毎年同じ話だけど、そんな父の思い出話をしながら食べるカニは、格別美味しいし、みんながそろう良い時間となっています。

昔食べていた頃より、年々カニは小さくなるけど、思い出とともに、こんな時間がこの先もずっと持てるといいな。

今日、事務所で見つけた古い社員名簿に、若い頃の父の写真。そして、扶養のところにあるわたしの名前と18歳という年齢。確かにアレもコレもあった、そんな頃。