令和5年の味噌づくり

糀ではじまり、味噌で終わった1ヶ月。窓の外に雪を眺める日も、いつもの年より長かった気がします。

わけても、1月の終わり、24日から28日にかけては大雪となり、25日、そして26日27日は臨時休業しました。木次の街なかは20センチくらいだったでしょうか。奥にそして東にいくほどに積雪は多かったようです。奥出雲の三成で50センチ、竹崎は120センチ。お店の前を走る木次線も運休していました。車の通る音も、気配も消えて、なんて静かなんだろうと、手を休めながら思ったものです。糀づくりも終わりが見えてきたころでした。

そして1月31日。大寒波から続いた雪は、この日の晴天と突然の雨で、ぐんと減り、路面も見えるようになりました。緊張しながら1ヶ月続いた糀づくりは、合計58キロの糀を出し終えて終わりを迎えました。150キロ近いお味噌が仕込めるほどの量です。オリゼで糀づくりを始めて6年目。つくる量も倍になり、お味噌づくりに参加くださる方も増えてきました。満月が雲の間から見え隠れしていました。ほっとはしましたが、休むまもなく、味噌づくりの準備に入ります。

味噌づくりに使う大豆は2日前の夜から浸水します。お味噌づくり教室は2月3日から4日間。その間、カフェは貸切休業です。終わっては準備、終わっては準備の日々。教室に参加される方のきっかけや動機はさまざまです。
「子どもが味噌汁が大好きなので手づくりの味噌を食べさせたいと思って」
「ひとりでつくるより、いっしょにやったほうが楽しいから」
「日本の食文化を学んでみたくて」

味噌のつくり方そのものは、なにも難しいところなくシンプルです。材料は大豆、塩、糀の3つ。それぞれ量の加減はありますが、いっしょにまぜて容器にいれて寝かせておくだけ。あとは菌や酵母が仕事をしてくれます。だから、本当は教えることはなにもないようなものなので、やればできますよ、大丈夫ですよ、と背中を押してあげること。ごく初歩的な説明はしますが、意外と書かれていなかったり、言われていなかったりすることもあるようで、「はじめて聞きました」と驚かれることもあります。

味噌づくりは特別なことではありません。誰にでもできること。正解もありません。同じ材料、同じ調合で仕込んでも、仕上がりはまちまち。違っていても、どれも美味しいのです。味噌づくり教室をはじめて最初だったか2年目だったか、一年後にみんなで食べ比べの会を開いたことがあります。同じ日と場所でつくって、それぞれ持ち帰って一年たった味噌。違っていながら、どれも美味しくて、みんなで盛り上がったことを思い出します。

今年は4日間、20人以上がそれぞれの味噌を仕込みました。
最終日の2月6日には、一緒にオリゼのお味噌の仕込みもして、終了! 去年はかぶせに酒粕を使いましたが、今年は真昆布を敷いてみることにします。どうなりますか。1年後が楽しみです。

長かった。「しっかり覚えて来年はお家でやってみます!」と言ってもらえたときには、とても嬉しかったです。なるべく簡単に美味しくつくれる分量で、と思って案内してますが、大豆も糀も塩の加減もいくらでも調整可能です。ご自身のご家庭のお好みで、少しずつでもつくり続けていってもらえたらと思います。