出雲市大津のくるみ市に隣接した「パンと焼き菓子」。夏季休業中のそのお店のスペースを借りて、今年も『ティラミス食堂』を開かせていただきました。
今年の夏も嘘でしょうというほどの猛暑の日々。それでも夕暮れの風にほんの少しだけ秋の匂いが混じりはじめる頃。この小さな食堂を開くと、「夏の終わり」を感じます。
もう4年目になるこのお店は、毎年、板倉布左子さんとふたりで営む夏の恒例行事。
これが終わらないと、私たちの夏は締めくくれません。
「ティラミス」という言葉には、「私を元気づけて」「私を上に引き上げて」という意味があるのだそうです。
毎年、倒れそうになるほど仕込みをして臨むのですが――
つい弱音を吐きたくなる私を、布左子さんはいつもスパルタ気味に引っ張り上げてくれます。
彼女のつくるティラミスは、チョコチップが入っていてとてもおいしい。けれど、彼女自身は私にとって甘くない、“ティラミス的存在”そのものです。(もちろん褒めています!)
出会って十年。布左子さんと出会わなければ、きっと見られなかった景色をいくつも一緒に見ることができました。厨房で交わす何気ない会話の向こうに、いつも季節の移ろいがありました。
ほんとうに感謝しています。(ほんとに!)
歳の差があることを、時々思い出しては苦笑いしながらも、彼女と並んで台所に立つと、年齢なんてどうでもよくなります。
この制服は、みなさんからもとても好評でした。イベントのとき、「さみさんに似合うと思って」と布左子さんが選んでくれたもの。今回もたくさんの方に「素敵なワンピースですね♡」と声をかけていただき、写真も撮っていただきました。
この三日間でつくったものは――
おむすびが200個、みつ豆が60人分、スコーンが120個。
ケーキは5ホール、惣菜もいろいろ。
厨房の熱気と甘い香りが、まだ指先に残っています。
差し入れにいただいた、打吹公園団子のやさしい甘さに救われながら、「来年もまた頑張ろう」と思える自分がいます。せっかくなので、今年の『ティラミス食堂』の記憶を、写真とともにここにあげておこうと思います。