5月5日の北三瓶。田植えが終わったばかりの水面に、青空と新緑が映える心地よい日でありました。この日は、羊を飼い、ウールをつくって販売している「KASAGI」の牧場とアトリエの公開日で、カフェオリゼはおにぎりやスイーツを用意して出店しました。
深い谷に沿って集落がある山口というところで、谷川(伊佐川)は神戸川に合流し、日本海へ至ります。
地元の方が出しておられる豚丼を買いに別会場へ行くと、少し離れた橋のたもとに石祠が見えました。
「あの祠はなんと言われとりますかね」
会場の入口で整理をしておられた男性にたずねました。
「あぁーなんだったかのー、昔からずーっとあるもんだけどのぉー」
テイクアウトを待つ間、雑談した内容は思い出せず。2分もなかったと思いますが、早くお店に帰らなばとそこを後にして、歩きはじめたところ、うしろで大きな声が聞こえました。
「ありゃーなんちゅうーたかのー」
「××じゃなかった?スイジン?」。
振り向いて50mほども離れたところからこたえた。
「みくまりさんじゃないですか?」
「あぁーそうかもしれん。水の神さまだよー」
みくまりと呼んでおられたかどうかは再び確かめねばと思います。
山口という土地の名前、山は古代よりサヒメと称されていました。牛馬放牧と交易(いち)が富のひとつであった場所だったと想像します。
それにしても、水が美しい。きれいというだけでなくよい水であることは、なぜ羊をここで、ということと結びついています。
「羊毛をていねいに洗う」「日本の山が生み出す軟水で」。
織り方仕立て方でさまざまなものが生まれる、その工程を間近で見れる良い一日でした。
『暮らすこと』。住まいも食も衣も、同じところにあるのだとー。
今年もここでみなさんと一緒に過ごせた一日が本当にうれしかった。
みなさま、ありがとうございました。